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  • 執筆者の写真大谷憲史

ジョルジュ・ルオーを10回言う~心に響かない宮崎県立美術館のCM





2019年6月15日から7月21日まで、宮崎県立美術館で『パナソニック汐留美術館コレクション ジョルジュ・ルオー展 ~心に響く魂の色彩~』が開催されています。



-----------------------------  ジョルジュ・ルオー(Georges Rouault, 1871年5月27日 - 1958年2月13日)は、フォーヴィスムに分類される19世紀~20世紀期のフランスの画家。

 ルオーは、パリの美術学校でアンリ・マティスらと同期だったこともあり、フォーヴィスムの画家に分類されることが多いが、ルオー本人は「画壇」や「流派」とは一線を画し、ひたすら自己の芸術を追求した孤高の画家であった。(ウィキペディアより) -----------------------------


20世紀フランス絵画の巨匠として紹介されるジョルジュ・ルオーの作品の多くはパナソニック汐留美術館に収蔵され、その代表作である油彩画の『キリスト』など103点が公開されています。

そのような芸術作品に多くの宮崎県民に触れてもらうために、毎日のように『ジョルジュ・ルオー展』のCMが流れています。

後援の一つである地元テレビ局のアナウンサーによるジョルジュ・ルオー作品の解説CMを観ると、ジョルジュ・ルオー展に行きたくなるのですが、中には目を疑うCMも・・・。

ジョルジュ・ルオーを10回言うCM


それはなんと、宮崎県立美術館のCMです。

15秒程度の短いCMで、宮崎県立美術館の四本 孝館長が自ら出演するというものです。その流れがは以下の通り。

スタッフ「館長、ジョルジュ・ルオー10回言ってください。」 (何を言っているか分からなかったので、あとで字幕が付く。) 四本館長「ジョルジュ・ルオー、ジョルジュ・ルオー、・・・」 四本館長「・・・、ジョルジュ・ジオー」 (少し間があって) 四本館長「心に響く魂の色彩、ジョルジュ・ルオー展」

というもの。

このCM、「四本館長に親しみが持てる」などの感想が県立美術館に寄せられているとのことですが、元公立小学校教員である私にしてみれば、おおいに「?」が付くCMです。

それは、

①ジョルジュ・ルオーを10回言うことによる効果が不明瞭 ②20世紀フランス絵画の巨匠に対して敬意を払っているのか ③このCMに教育的配慮、美術館としてのセンス、芸術性があるのか

そこで、県立美術館を管轄している宮崎県教育委員会生涯学習課(県教委)および宮崎県立美術館(美術館)に尋ねてみました。

①ジョルジュ・ルオーを10回言うことによる効果が不明瞭

すでに亡くなっている人物で、しかも、20世紀フランス絵画の巨匠であるジョルジュ・ルオーの名前を、多くの方々に知って欲しいということは分かるが、10回目は完璧に名前を間違えていました。

しかも、早口で名前を連呼している四本館長の顔が次第にゆがんでいくことのほうに関心が・・・。

(県教委)宮崎県民の皆さんに、ジョルジュ・ルオーの名前を知っていただきために、名前を連呼した。

(美術館)CM会社との話し合いで、そのようなカタチにした。

(私)さすがに10回目は名前を間違えているが、完成したCMを観て、誰も何も言わなかったのか。館長はOKしたのか。

(美術館)出来上がったCMについては、何の異議も出なかった。四本館長もOKを出した。当然パナソニック汐留美術館にも観てもらったが、何もなかった。

②20世紀フランス絵画の巨匠に対して敬意を払っているのか

(県教委)敬意は払っている。 (美術館)CMに対しては、「親しみが持てる」という県民からの声もあり、問題はないと思う。

③このCMに教育的配慮、美術館としてのセンス、芸術性があるのか

ただ問題は、この点ですね。

学校現場では、道徳の授業や学校生活のあらゆる場面において、「相手に対する思いやりの心」を育むための教育が行われています(と思います)。

いまだにいじめ問題はなくならず、子どもの名前を使っての『からかい』もあります。私もその被害を受けた一人です。

名前が『のりふみ(憲史)』で、最後に『み』が付くのが女っぽいということだけで、からかわれていました。親からもらった大切な自分の名前を、このようなカタチでからかわれたことは、とても嫌でした。

20世紀フランス絵画の巨匠ジョルジュ・ルオーに対して敬意を払っているのであれば、最低限、その名前を何か罰ゲームのように連呼させるとか、名前を間違えるとかそういったことをしてはいけないはずです。

宮崎県の子どもたちの教育を推進している県教育委員会が、率先してこのようなことをやっている。まるで、


YouTuberのノリ


ですね。

私もYouTuberの一人ですが、他人の名前をおちょくるとか、間違えるとか、そのようなことはしませんね。

しかも、この四本 孝館長は、元宮崎県教育委員会のトップでした。教育長自らCMに出演し、20世紀フランス絵画の巨匠ジョルジュ・ルオーの名前をおちょくったパフォーマンスを行うこと自体、あってはならないことです。

そこに教育的な配慮、県立美術館としてのセンス、CMの芸術性はあるのでしょうか?

(県教委)今後、対策を検討します。その結果をお伝えしますので連絡先を教えてください。 (美術館)美術館でも様々な展覧会が予定されていますので、今後の検討課題とさせていただきます。

県教育委員会は、私のようなクレームを予想していなかったようでした。一人の県民の 意見で検討するのであれば、最初からそのようなクレームが来ることも予想して対処すれば良いのですが、県教育委員会、美術館とも、何も予想はしていなかったようです。

CM制作の現場で、誰も疑問に思わなかった自体、


名前に対する敬意を誰も払っていなかった


ということです。

ストッパーがいなかったことは、残念なことです。

このような行政マンが県教育委員会にいる限り、宮崎県の教育は良くなっていかないでしょう。

どのような人間であっても、最低限、


相手の名前を大切にする


といったあたりから、改善していかないと、「今後、対策を検討します」といっても、そこに気付く人間がいなかったわけで、今後も何も変わっていかないのではないかと思います。


最後に、テレビから「ジョルジュ・ルオーの名前を10回言う」のCMが消えても、それは私のせいではありません。あしからず。

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